2016年09月28日

今年も届きました!大阪府の中学生の作品です。(後編)

さて。
先日に引き続き、大阪府の中学生が美術の授業で製作した島ぞうりの作品紹介、後編スタートです!

<第5作>
今年も届きました!大阪府の中学生の作品です。(後編)



ギターと楽譜をメインテーマに置いた作品です。
なによりギターを大きく、そして全体を彫り貫いた部分、
そして、つま先部分の楽譜は白抜きとなる浮き彫りにチャレンジしているところに目が釘付けにされます。
楽譜部分の細かさは、わたしでも彫るのイヤだな〜って思ってしまうほど。
ここまできたら、厳しく言ってしまいましょう。。。
きっとご本人もそうしたかったに違いないと思いますが、
やはり、一つひとつの「♪」や「♬」をしっかりと残してほしかった。
イメージは伝わりますが、この場合は「デフォルメ」とまではいかないかな。
「そこまで細かくできないから、◯だけでいいやー」という感じ。
こういう場合には、五線で工夫したらいいかもしれません。
五線のラインは♬のすぐ近くまでで止めておく、とか。
あるいは五線に対して、音符の◯の部分を小さめに作り、五線にあまり触れさせない。
細かいデザインを入れたい時には、どこを細かくしたいかをよく考えて、細かくなくてもいい部分はどこか? と考えるといいアイデアが生まれるかもしれません。
さらに、真ん中のギターのオレンジの配分が多い分、デザインも印象的なものになっていますが、
たとえば、ひとつのアイデアとして、ギターの中に、さらに音符を散らせて遊ばせる、とか、
名前を並べてみる、とかこれだけのギターのボディのスペースを使って、何かできないかと考えてみると、さらに楽しいデザインの幅が広がりそうです。

下絵の跡も見えて、デザインに苦心したことが伺えます。
実際に履いてみたら、つま先あたりから見え隠れする五線が幾何学模様のようにかわいらしく見えるはずです。


<第6作>
今年も届きました!大阪府の中学生の作品です。(後編)



こちらのデザインは、ほんとうに、よくこのデザインを選んだなーと感心します。
途中で投げ出さず、細かい花びら部分の細いラインを丁寧に彫り上げてますね。
きっと、ふだんから根気のある生徒さんなのでしょうね。アタマが下がります。
ここの作品も、文句のつけどころがありませんが、欲を言わせてもらえば、、、
3つあるそれぞれのお花の花びらに、もう少しベタ部分を増やして、ラインで作る花びらの中に、
たまに紫色の花びらが不規則に潜んでいたら、全体にメリハリが出て、空間を残したこの潔いデザインに、深みとオシャレ度が増すような気がします。
同じ図形を繰り返し並べていくデザインの場合は、どこかで遊べないか、どこかで外せないか、を考えてみると、どんどんデザインの世界が広がり、どんどんデザインを楽しめるようになる気がします。
それにしても、中学生とは思えない、とても気品を感じさせるデザインで、島ぞうりのムラサキ色にもぴったりのデザインだと思います。

<第7作>
今年も届きました!大阪府の中学生の作品です。(後編)



この作品は、お友だちと片足を交換したんでしょうか。オレンジに黄色が並ぶことで、とても爽やかな印象です。
デザイン自体もあまり細かく入れすぎず、大振りに潔い配置。
とてもスッキリと抑えられているところがいいところですが、裏を返せば、面白みに欠けてしまいます。
この場合は、例えば「ヤシの木」にだけ、もう少し手を加え、ボリュームを出してもいいかもしれません。線で作られた葉っぱが三枚だけなので、彫る部分の多い葉っぱをあと3、4枚足してもいいくらいかも。少し、悩んだ下絵の跡が見えますね。展示を終えたあとで、少しずつデザインを増やしていく、というのもいいかもしれません。
あるいは、ヤシの木をスッキリめにしておき、星をもっと細かく増やして、つま先部分には星がいっぱい、というように、
何か一つのパターンに集中して手を入れる、というのもデザインの広げ方としてはおすすめです。
例えば寄せる波の曲線部分も、すべて同様の細いラインではなく、太かったり細かったりしてもいいかも。
デザイン全体を見渡して、まんべんなくデザインが散っているのではなく、どこかに集中してチカラを加える、という方法も考え方の一つです。
ヤシの幹は、細いライン、太いラインとメリハリのあるデザインが加えられてますね。ここはとてもいい感じがでています。
そして文字の部分は言うことなし! 難しい筆記体の英文字をサラサラと彫り上げてますね。とても美しい文字に仕上がってます!


<第8作>
今年も届きました!大阪府の中学生の作品です。(後編)



今回最後にご紹介するのはこちら。
もうとにかくハッピーなオーラがこちらに飛び出てきそうな雰囲気です。
これは浮き彫りにして大正解!
コロコロとした形と、たくさんのニコニコ(や困ったちゃん)がせめぎあって、楽しく元気な雰囲気を醸し出しています。
そして、ぜんぶニコニコじゃないとこがすごくよかった。
ついついあれ? 困ったちゃんもいるぞ、あれ、こっちはこんな顔、とついついデザインに引き込まれてしまいます。
この作品にはもう言うことはないですねー。
なんとかひねり出すとしたら、唯一、お名前のあたりでしょうか。
まん丸の形がせめぎあっている中で、なぜか顔じゃなくてアルファベットが書かれてる? という感じも面白いかもしれません。
よくよく見たら、アルファベットが入ってる。アルファベットを探して繋いでみたら、名前になってる、というこっちもなんだかニコニコしてきちゃうといったような、遊びゴコロを大切に。


以上 ーーーーーーーーーーーーー

今年も重責のかかった任務を、無事終えることができました。
どの作品に対する寸評も、未来ある生徒さんたちの表現方法を否定するものではないことを、どうかご理解ください。
デザインにルールはなく、ゴールもありません。それだけ自由だということです。
誰にどう見られるか、なんと言われるか、ということよりも、自分自身が、いかに心地よく感じるか、いかにそのデザインによってワクワクドキドキできるか、シアワセな気分になれるか、自分がどう感じるかを大切にしてほしいです。
わたしもたまに、わからなくなりますが。
まず自分自身が感じる才能を高めて磨き続けないことには、自分以外の誰かに喜んでもらうことはできないでしょう。

A国際中学校の皆さんには、毎年わたしが楽しませてもらい、そして、デザインの可能性をイヤというほど感じさせてもらってます。
生徒の皆さん、そして毎年島ぞうりを授業で取り上げてくださる美術科の香月先生、ほんとにありがとうございます。

来年も? 待ってまーす!

マキノコ・マキより。



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Posted by makinoko at 23:55 │投稿?ギャラリー