2016年09月27日

今年も届きました!大阪府の中学生の作品です。(前編)

さて。毎年楽しみにしている大阪府某中学校での美術の授業で製作されたオリジナル島ぞうりの作品群(画像)が、今年も届きました。
前・後編でお届けします! わくわく。。。

毎年本気モードな作品ばかりなので、さらに年々デザイン力がアップしていくので、
ちょっと図々しい感じはハンパないですが、寸評を、書かせていただきます!
(※あくまで個人の感想です。)


<第1作>
今年も届きました!大阪府の中学生の作品です。(前編)



オレンジ色の島ぞうりに、オレンジを散りばめた作品。
すっきりとデザイン化されたオレンジの断面がとてもスッキリ出ていて気持ちいいです。
「Orange」の文字の「O」の部分にも小さめのオレンジをしっかり配置した点、そしてオレンジの果汁がちょんちょんとこぼれているところ、さらにその果汁は右足の上の方と左足の下の方に配置。かわいらしさとアソビゴコロ、さらにバランス感覚が生きてます。
あまり文句はないんですが、もし、わたしが作るとしたら、と考えてみると、
やはり、右足と左足を並べてみたときにどうか?という観点をいつも忘れない、ということでしょうか。
まず、配置したオレンジは左右の足で完全に分断されてます。
そして、上方に線で描いたオレンジ、下方にオレンジ色をベタで多く出したオレンジがそれぞれ固まってますね。
これはかなりもったいないです。
デザインを考える最初の最初から、島ぞうりを左右揃えた状態で考えていくと、ずっとデザイン性とアソビゴコロも、アップするはずです!
とはいえ、オレンジの曲線のライン、そしてナイフの彫り後は、ものすごく丁寧で、美しく仕上っていますから、その点がすべてに勝っていると思います。


<第2作>
今年も届きました!大阪府の中学生の作品です。(前編)



これは、わたしにはテーマを読み取るのが難しかったんですが、戦国時代とか? そういう感じでしょうか。
まず、左右完全に対称につくることほど難しいデザインはありません。機械でやるならこれほどカンタンなことはないでしょう。
左右対称に作りたい時には、フリーハンドでは難しい部分だけでも、型紙を作ることをおすすめします。
フリーハンドで生まれる面白さと、型紙を使用してぴしっとデザインパーツを揃えることで生まれる均衡のとれた美しさを、
デザインによって使いわけるか、あるいは一つひとつのパーツによって使いわけるといいと思います。
例えば、かかとにくる「木」という文字に似た部分、☆マークとその下につながる菱形の幾何学模様は型紙を置いて左右をしっかり合わせます。
その後で、しめ縄のような部分、縦に流れる稲光のような模様はある程度ゆるく動きを出してフリーハンドで入れていく、という考え方もあります。
そうすると、デザイン全体にメリハリが出るかもしれません。このデザインを作ったことがないので断言まではできないんですけどね。
ただ、何よりもこういった柄を島ぞうりに配置する、というアイデアがもっとも素晴らしいもので、きっと似たような世界観のデザインを作った方は他にはいらっしゃらなかったんじゃないでしょうか?
デザインの個性には他に影響されない作者の確固たる個性が溢れ出ています。
学校生活や社会生活では、協調性はなにより重用視されるきらいがありますが、デザインにおける自由は果てることがありません。他に紛れて薄まることのないこの作品に潜む感性が、わたしは大好きです。


<第3作>
今年も届きました!大阪府の中学生の作品です。(前編)



なんともいえず、ほっと一息ついてしまう、のどかで温かな作品です。
何よりびっくりしたのは、かかとのシーサーにみるそのデフォルメ力(りょく)!
これだけでシーサーに見せてしまうのはすごいですね。これがそもそもデザインとしてだったのか、
はたまためんどくさかったからなのか、と悩みましたが、全体に散りばめられたハイビスカスを見ると、なるほど、こちらもかなりのデフォルメっぷりでした。
わたしはいつもかなり細かくデザインを入れてしまうほうですが、ここまですっきり鮮やかにデフォルメを決めてみたいものです。
勉強になります!
デフォルメもここまでいくと、空間が生まれてすごくスッキリしますね。
それでも寂しい感じにならないのは、やはりかかとのシーサーのかわいらしさでしょう。
個人的には、ハイビスカスだけは、やはり5枚の花びらと、細長く伸びた花芯が最大の特徴なので、それぞれに花芯とその先のめしべ的なものをもう少し表現してほしかったです。そうすると、「手抜き」ではなく、完全にデザインとしての「デフォルメ」になるかもしれません。


<第4作>
今年も届きました!大阪府の中学生の作品です。(前編)



海と砂浜のイメージを、とにかく細いラインを丁寧に、丁寧にいれているのがわかります。
よく途中でイヤにならなかったなーと感心するほど。
貝殻の細いラインはもちろん、小さな丸、つぶつぶ、星、様々なパターンで構成されていて、キラキラした海の光景が浮かぶほどです。
こういったデザインは、やはり両足を揃えて自分の目の前に置き、細かいパターンをどこまでのボリュームで入れていくかをイメージすることが大切です。
今回の場合は、パッと見た時のバランスではやはり右足のお名前の上が、そこだけ空間がありすぎるようです。もう少し細かなパターンを足してもいいかも。
そして、名前もデザインを構成するひとつのパーツととらえ、どのようにデザインと合わせていくかを考えると、もっと楽しく、デザイン全体の動きが変わってくるかもしれません。
例えば、ひとつのアイデアとして、中央あたりに配置されたクルクルのイメージに、名前を沿わせてみる、とか。
細かいパーツの丸の中に文字を入れて散らしてみる、とか。
同時に、名前はローマ字がいいか、カタカナがいいか、それともひらがなのほうがいいかと、文字のデザインにも意識が向いて行くようになると思うんです。
このデザインをわたしが作るとしたら、、、?
中央部分のクルクルをつま先、かかとの曲線に合わせて配置して、そのクルクルに名前を沿わせる、
そしてクルクルの周囲に少し細かいパーツを散りばめて、島ぞうりの中央部分に細かいパーツをぎゅぎゅっと少し幅広に、天の川のようなイメージで配置。
その中にメリハリをつけるように貝殻やヒトデなどを遊ばせる。

こんな感じに、同じパーツを使っても、配置でまったく表情の違うデザインが生まれます。
今回のこの作品の配置は、奇をてらうことのない素直な気持ちが出ていて、とてもやさしい感じを受けますね。いつも奇をてらうことばっかり考えてるわたしは、ここまで書いて、すこし反省したところです。


<前編終了>




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Posted by makinoko at 01:51 │投稿?ギャラリー